1~25号 1950年8月1日~1952年3月15日
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戦時中の雑誌統制で自ら『キネマ旬報』の看板を下ろし、日本映画雑誌協会理事長、日本映画協会参与など体制側に寄り添ってきた同誌の創始者・田中三郎は、私生活では家族の事業失敗から借金地獄に陥るなど「霧消したもろもろの映画出版物の怨霊が祟つたらしく、私ごとでいうと、それからは碌なことがなかつた」という。戦後に飯田心美、水町靑磁、友田純一郎、滋野辰彦、村上忠久の五名が『キネマ旬報』再建の相談を持ち掛けた時も自ら陣頭指揮を執る気力はなく、誌名を彼らに譲り、「同志の奮闘を傍観するにすぎない有様であつた」と『映画新報』の「創刊の辞」で述べている。
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だが、その再建『キネマ旬報』が4年間の奮闘虚しく昭和25年(1950年)4月1日発行の第七九号をもって休刊となり、かつ戦時中の廃刊に涙を流して反対し、再建号の中心人物として健筆を振るった水町靑磁が第79 号の発売直前に新橋駅で事故死した報に接するに及び、何かに突き動かされるが如く田中が編集兼発行人として映画ジャーナリズムの世界に現場復帰した雑誌、それが昭和25 年8 月1 日に創刊号が発行された『映画新報』(英語名:SCREEN HERALD)である。その背景に、水町の死を無駄にしないためにも何とか再び『キネマ旬報』を復活させよう、との想いがあったことは創刊号での2 頁の水町追悼特集からも容易に推察できる。
だが、熱い思いとは裏腹に、現実は厳しいものだった。先ず、自らが生みの親であった『キネマ旬報』という誌名は、休刊中とはいえ、自分が再び使うことは出来なかった。何故なら、再建号休刊は単なる経営破綻ではなく二つの組合間での発行権を巡る内紛があったが故であり、いずれはどちらかが再発行する事が予想されたからである。「創刊の辞」で田中は次のように語っている。「ここに、「映画新報」を創刊するについては、あらゆる私情、障碍を排しても、本来ふたたびみたび「キネマ旬報」を呼称すべきでもあるが、そこにはそれを沮はばむ多くの現実の問題がある。殊に嘗て自らの手でこれを閉じた門でもあり、国家社会事情の変遷、日本映画界状勢の推移からも、徒らに十年以前の古きになずむの安易などは或いは大きな過誤を犯すの因となるべきをも惧れるのである」 (『映画新報』解説 ・谷川建司(早稲田大学) より抜粋)
ISBN 978-4-89253-640-3 |
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1950年8月10日~1951年3月1日 |
1951年4月1日~1952年3月15日 |
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『キネマ旬報』再建号 キネマ旬報社
第1号 ~ 第79号 1946年3月1日~1950年4月1日発行
廃刊から2年3か月、戦前からの同人、飯田心美を編集発行人とし戦後の再建第一号が発行された。伝えられている話では、戦前の創刊時からの主宰者であった田中三郎に『キネマ旬報』再建の相談を持ち掛けたところ、自ら再建する意思の無かった田中は快くこれを受け入れ、誌名を譲ったのだという。
ISBN 978-4-89253-626-7 |
1 ~ 10号 |
11 ~ 24号 |
25 ~ 36号 |
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1946年3月1日~1947年2月10日 |
1947年3月1日~1947年12月1日 |
1948年1月1日~1948年6月15日 |
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ISBN 978-4-89253-627-4 |
37 ~ 48号 |
49 ~ 60号 |
61 ~ 72号 |
73 ~ 79号 |
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1948年7月1日~1948年12月15日 |
1949年1月1日~1949年6月15日 |
1949年7月1日~1949年12月15日 |
1950年1月1日~1950年4月1日 |
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『アメリカ映画』 |
アメリカ映画研究所/編集=キネマ旬報同人 |
1~21号 1946年11月1日~1948年10月
『キネマ旬報』の別動隊としてアメリカ映画に特化した月刊誌。飯島正を編集兼発行人として発行された。発行元は便宜的にアメリカ映画研究所となっているが、実質的にキネマ旬報発行といえる。GHQ占領政策に沿って発行。「アメリカ映画によって日本人を民主化する」ことを目的とした。
ISBN 978-4-89253-635-9 |
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1946年11月1日~1948年1月20日 |
1948年2月20日~1948年11月20日 |
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『映画春秋』 |
「映画春秋社」/編集 = 「キネマ旬報」同人 |
1~34号 1946年8月1日~1950年4月10日
『キネマ旬報』から派生した映画論壇誌、編集は北川冬彦、飯島正。編集部所在地が『キネマ旬報』と同一であり、実質的にキネマ旬報発行といえる。本家『キネマ旬報』よりも芸術としての映画にフォーカスした形で、「失はれた映画芸術の復興、映画芸術精神の新たなる喚起」ことを使命と謳っている。
ISBN 978-4-89253-646-5 |
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1946年8月15日~1947年3月15日 |
1947年4月15日~1948年2月10日 |
1948年3月10日~1948年9月10日 |
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ISBN 978-4-89253-647-2 |
19 ~ 25号 |
26 ~ 30号 |
31 ~ 34号 |
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1948年10月10日~1949年7月10日 |
1949年8月10日~1949年12月10日 |
1950年1月10日~1950年4月10日 |
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