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台湾総督官房調査課 編纂
南支那及南洋情報
昭和6年11月~13年3月(終刊) 全13冊
台湾総督官房外事課 編纂
[続刊]南支南洋
昭和13年4月~16年9月(終刊) 全14冊
計27冊 定価 ¥540,000. + 消費税 |
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日本と「南支・南洋」
東京大学名誉教授
東京国際大学教授
原 朗
日本が「南洋」に関心を向けた時期にはいくつかの波がある。まず日清戦争で台湾を獲得したとき、日本は対岸の中国福建省やその南の広東省などへの関心と同時に、台湾を拠点としてさらに南方の地域への進出を図ることを夢見ていた。韓国併合ののち第一次大戦で南洋群島を支配した日本には、シベリアにその矛先を向ける陸軍を中心とした北進論と、アメリカと対侍するために西太平洋の覇権を保持しようとする海軍などによる南進論の思惑とが行き交っていた。
このたび復刻されることになった『南支那及南洋情報』(『南支南洋』)の前史を辿ってみると、1920年1月に台湾総督府外事課と調査課は共同で「外調週報」を発行し、11月からこれを「外事週報」と改題している。翌21年に総督府調査課の「統計週報」と合併して「内外情報」と改題し、1927年1月に「南支那及南洋情報」となり、雑誌『台湾時報』の附冊として1931年6月まで継続されてきた。同年11月に雑誌から分離し、台湾総督官房調査課編の月2回刊行の付録冊子『南支那及南洋情報』として台湾総督府内の台湾時報社より刊行され、希望者に配布されることになった。途中で官房外事課編となって1931年3月の第153号まで続き、1938年4月号からは『南支南洋』と改題され月刊誌となって1941年9月の195号にいたった。
その内容は、論説・調査・資料などと各地域別の「時報」、さらに統計・貿易月報などからなり、130種以上の和文華文雑誌、80種以上の欧文新聞雑誌から抜粋した重要記事索引を付レている。1931年第1号から1935年第99号までの時報欄を除く総目次により地域別に記事の頻度を概観すると、総記事数493のうち424が南洋、69が中華民国であり、その内訳は蘭領印度100、比律賓66、仏領印度支那60、英領馬来60、蓬羅43および中華民国49、香港19などであり、南支那のみならず関心は中国全域にわたり、南洋についても印度・ビルマ・セイロンにも及んでいる。
1938年12月号の巻頭に示された「東亜略図」をみても、千島・樺太・「満州国」・外蒙古などの北緯50度から豪州南端の南緯40度、カロリン諸島・ソロモン諸島などの東経160度からチベット・ビルマの東経90度までを含んでおり、「南支南洋」と「東亜」への進出意欲を地図の上に如実に示している。また、巻末に示された「在南支南洋帝国公館長一覧」によれば、在上海特命全権公使を筆頭に、上海・南京の総領事、台湾総督府事務官を兼務する広東・厦門の総領事、以下香港・マニラ・ダバオ・ハノイ・バンコック・シンガポール・サンダカン・バタビア・スラバヤ・メダン・メナド・シドニー・ウエリントン・ラングーン・コロンボ・カルカッタ・ボンベイなど各地の公使・総領事・領事などが含まれている。このように本書は一瞥するだけでも情報源として非常に貴重であるが、その全巻を所蔵するのは全国の大学でもごく少数で、筆者の知る限り5大学程度に過ぎない。
太平洋戦争期においてこの「南支・南洋」の大部分が主戦場となったことはいうまでもないが、今回の復刻は、これま’で相対的に注目されることが少なかった満州事変期・日中戦争期における日本の南洋と中国への関心を知る上で大きな意義をもっていると考える。
表紙 目次1 目次2 目次3
刊行明細
南支那及南洋情報 |
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南支南洋 |
復刻版
册数 |
原本通号 |
原本巻数 |
刊行年 |
復刻版
册数 |
原本通号 |
刊行年 |
1 |
1-16 |
1年-2年12号 |
昭和6・11-7・7 |
14 |
154-156号 |
昭和13・4-13・6 |
2 |
17-28 |
2年13-24 |
昭和7・7-7・12 |
15 |
157-159号 |
昭和13・7-13・9 |
3 |
29-40 |
3年1-12 |
昭和8・1-8・6 |
16 |
160-162号 |
昭和13・10-13・12 |
4 |
41-52 |
3年13-24 |
昭和8・7-8・12 |
17 |
163-165号 |
昭和14・1-14・3 |
5 |
53-64 |
4年1-12 |
昭和9・1-9・6 |
18 |
166-168号 |
昭和14・4-14・6 |
6 |
65-76 |
4年13-24 |
昭和9・7-9・12 |
19 |
169-171号 |
昭和14・7-14・9 |
7 |
77-88 |
5年1-12 |
昭和10・1-10・6 |
20 |
172-174号 |
昭和14・10-14・12 |
8 |
89-99 |
5年13-23 |
昭和10・7-10・12 |
21 |
175-177号 |
昭和15・1-15・3 |
9 |
100-111 |
6年1-12 |
昭和11・1-11・6 |
22 |
178-180号 |
昭和15・4-15・6 |
10 |
112-123 |
6年13-24 |
昭和11・7-11・12 |
23 |
181-183号 |
昭和15・7-15・9 |
11 |
124-135 |
7年1-12 |
昭和12・1-12・6 |
24 |
184-186号 |
昭和15・10-15・12 |
12 |
136-147 |
7年13-24 |
昭和12・7-12・12 |
25 |
187-189号 |
昭和16・1-16・3 |
13 |
148-153 |
8年1-6 |
昭和13・1-13・3 |
26 |
190-192号 |
昭和16・4-16・6 |
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27 |
193-195号 |
昭和16・7-16・9 |
A5版 上製本 全27冊
セット定価 ¥540,000. + 消費税
ISBN4-89253-114-6
【関連調査資料 復刻版】
台湾総督府(戸口)国勢調査報告
明治38年-昭和15年 上製本 全65冊 ¥1,570,000. + 消費税
南洋庁(南洋群島)島勢調査報告
大正9年-昭和14年 上製本 全9冊 ¥178,000. + 消費税
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