第六輯 下華嚴寺薄伽教蔵 (三) 昭和18年3月
第四圖版 内外の建築細部
上圖は外部の柱の上方からノキまはりの間を示し、下圖は内部の斗栱と天井との細部を明らかに
して、遼代の特色がわかるやうにした。
第八圖版 天宮壁蔵(東北隅)
教蔵内の東北隅における東壁の部分の天宮壁蔵、これでは下から上まで全部の姿が示されてを
り、高欄の組子の一々變ってゐるところなど、細部をみてゆけば非常に教へられるところが多
い。上層の像や額は親しいものである。
第九圖版 天宮壁蔵(南壁)
南壁全部にわたる天宮壁蔵のうちの主要部分である。
南壁は第八圖版などと比較すれば、斗栱などに少しく調子の違ったところが見える。
第二十六圖版 内陣左區の小塑像
内陣須彌壇上の佛像群中、向って左區の本尊前方に、小児が蓮座上に坐つた塑像が二つあり、
ともに愛すべき出来榮えである。池上に出た莖が蓮華座を支へてるるところも、寫眞に入れた
かったが、坐像が小さくなるので上半のみ紹介した。
第二十七圖版 内陣左區の側方坐塑像
左區の向って左列の、本尊より第三番、すなはち四天王像の奥隣にある坐菩薩像。
第二十八圖版 内陣左區の前方坐塑像
左區木尊の最前方にある坐佛像は、小さいから現場では人目をひかないが、寫眞にしてみると
優れた像であることがわかる。
第四十圖版 内陣坐塑像の蓮座
諸像の蓮華座には、時に近代の修補が加はつてゐるが、なほ大部分は遼代のおもかけを傳へ、
すぐれた技巧を存する。本寫眞はかゝる一例を示す。
第四十一圖版 内陣坐塑像の蓮座(部分詳細)
蓮辮の一枚一枚に現した佛像の二例をかゝげた。佛像の線がもりあがってをり、その姿と背光と
には五代・北宋の様式と相通するものが見られる。 |
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第七輯 善化寺 (三) 昭和18年4月
第五十八圖版 大雄寶殿の外景二種
大雄寶殿は遼代にはじめられ、金代初期に大重修をうけた建築と認められるが、鴟尾などは近代
になって改められ、殿そのものもすでに倒壊の一歩前にある。
この雄大な古建築を見た人は、いつまでも保存したいと誰しも思はれるに相違ない。
第五十九圖版 大雄寶殿・外部の建築細部
建築の細部、とくに色彩のはげた古建築のそれが、多くの人々の興味をひかないことを知り乍ら
も、いつ消えてなくなるか知れない老大建築を、永く記録にとどめたいばかりに、ここに三圖版
を費すことにした。
下圖右の瓦のうちには、なほ遼金代の特色を示すものが含まれてゐるのである。
第六十圖版 大雄寶殿・内部の建築細部
第六十一圖版 同上
いづれも特色のある上方の構造を示した。
斗栱のごときは彩色こそないが、下華嚴寺のそれと相通すみところが多い。
第六十六圖版 大雄寶殿・脇侍立像
内陣の五本尊にはそれぞれ脇侍立像があり、それには菩薩像と僧(比丘)像とがあるので、ここに
三體を掲げた。
第七十圖版 大雄寶殿・西壁前の天部塑像
東西ともに十二の天部がならぶが、その中央に六(辟月)の像がおかれ、とくに珍しく且つ優れ
た作品である。明代のこの種の像では、 西のを日宮大陰尊天とよんでゐる例がある。
第七十四圖版 大雄寶殿・東壁前の天部塑像
奥より第三(左)第四(右)番目の像、左像の笏は新しい。
第七十八圖版 大雄寶殿・東壁前の天部塑像(部分)
奥より第十番目の像の大寫しであり、笏は新しいが、すぐれて美しい女神像と思ふ。
明代の名称によれば、大辯才尊天にあたるかとも思ふ。 |
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第八輯 下華嚴寺薄伽教藏 (四) 昭和18年5月
第二圖版 教蔵の側面と山門外よりの全景
これと圖版一とをあわせ見れば、寺の現状があらまし察せられよう。
こゝに山門としたのは、本来の山門の位置のものでなく、寺の前半が清末から學校とせられたた
め、こゝに小さな山門を新設したものらしい。海會殿は低くて見えず、教職のみが高くそびえて、
寺の大部分を占めてみるかに見える。
しかもその教職の美しい輪郭線を味ふためには、側面の姿を見のがしてはならないと思ふ。
第七圖版 内陣の天井(部分詳細)
天井の格間に描いた天人の姿は、すべて一様でないが、こゝには二例を示した。圖版の下半を占め
た天井文様は、八角折りあげ天井の一部分であるから、右を下にして見て下さい。
第十一圓版 天宮壁蔵(北壁中央上部)
天宮壁蔵は南北及び西の三方の壁の中央のところに、とくに立派な宮殿風の建築があるので、その
北壁の中央部をこゝに大きく出して見た。
南壁のそれとよく似てゐて、しかも多少異なったところがあろ。
第三十二圖版 内陣右區の小塑像
第二十六圖版に近似すゐ小さな塑像である。この種のものは内陣の向って右と左との二區だけで、
中央區にはない。左圖の右手は缺失してゐる。
第三十一二圖版 内陣右區の列立塑像
正面に向いてゐるのは向って右區の立像だが.背面を見せてみる二體は中央區の像である。
第三十六圖版 内陣の列立塑像
三本尊の両側ちかくには僧體(比丘)の立像が立つので、それを三例示した。
これは中央區(中)一例、右區(右と左)二例である。
第三十八圖版 内陣中央區の本尊光背飛天像
本尊の光背のうち、飛天像がついてゐるのは、中央區だけである(第十九圖版参照)
この飛天像を第七圖版の天井絵と比較して戴きたい。
第三十九圖版 内陣中央區の本尊蓮座
本尊像のすわる蓮華座の美しさを示した。
蓮辮ごとに見える佛畫を第四十圖版、第四十一圖版とともに味はれたい。 |
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