井口常範著 元禄2年(1689) 全5巻 大坂書林 藤屋徳兵衞/田原屋平兵衞
【少書込 少虫損 ラベル】
江戸時代の天文書・暦学書。
元禄元年(1688年)に井口常範によって著され、元禄二年(1689年)に刊行。
我が国最初の一般向け天文学解説書とされ、また日本で「地球」という語が使われた最古の例ともいわれている。
また、伊能忠敬も読んでいたとも。日本人の天体観や地球観の変遷を探る上で重要な資料である。

冒頭には中国天文学の「天球儀」「渾天儀」「衆星図」「天地儀」「九重天之図」と
仏教天文学の「須弥山図」、西洋天文学の「九重天之図」を掲げている。
巻1は天文総論にあてられて、推測としながらハレー彗星でも有名なエドモンド・ハレーが彗星回帰を唱える
17年も前に彗星が回帰現象であると可能性について触れている。
巻2から巻4までは授時暦を中心とした暦学について解説し、巻5では、太陽・月・五星の位置計算法について解説。
最後に「渾天地儀図序」として日本を中心とした地球の半球を掲げている。