Evans × David D. Hall

Evans × David D. Hall (Professor Emeritus, Harvard University)

 
共同購入コンソーシアム「Evans:初期アメリカ刊行物史料集成 エヴァンス」ご案内
Evans Digital Collection 大西先生 × 増井先生 Evans Digital Collection に寄せられた声

 

 
 
 
 

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■ エヴァンズ推薦文
デイヴィッド・D・ホール(ハーヴァード大学神学部名誉教授)


ホール先生履歴書(略式)
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David D. Hall (Bartlett Professor of New England Church History Emeritus, Harvard Divinity School, Harvard University)

著書:
The Puritans: A Transatlantic History (Princeton University Press, 2019)

ISBN: 0691151393
ISBN-13: 9780691151397

A Reforming People: Puritanism and the Transformation of Public Life in New England (Knopf, 2011) 
[邦訳:『改革をめざすピューリタンたち:ニューイングランドにおけるピューリタニズムと公的生活の実践』大西直樹訳(彩流社、2012年)]

The Faithful Shepherd: A History of the New England Ministry in the Seventeenth Century (Harvard University Press, 2006)

Worlds of Wonder, Days of Judgment: Popular Religious Belief in Early New England (Harvard University Press, 1990)

その他:
Chairman, Program in the History of the Book in American Culture, American Antiquarian Society, 1984-93

General Editor, “A History of the Book in America” (5 volume series, Cambridge University Press; University of North Carolina Press, 2000-2010)

Mellon Senior Fellow, American Antiquarian Society, 2004-5


The Evans Collection is the rock or foundation on which everyone who studies the first two centuries of American culture builds their work.
Its authority is universally acknowledged: the cataloguing is superb, the best versions of a text are the basis of the digital version, and best of all, the entire series is searchable.
I wrote my first serious seminar paper (in 1961) when I was a graduate student at Yale using the original Microfiche edition of Evans (I was studying ordination sermons), and have used it ever since for my books and essays.
Japanese scholars are very fortunate in having the most recent version, with an excellent search system, available at their universities.

David D. Hall (Professor Emeritus, Harvard University)
 

初期アメリカ文化を研究するすべての人々にとって、エヴァンズ・コレクションは、自身の研究を築きあげるための礎石です。
エヴァンズの信頼性は特に次の点において、広く認識されています。すなわち、目録作成技術に卓越しており、デジタル化された資料の元となるのは原資料となるテクストの内、最も信頼できる版となっています。
何より素晴らしいのは、こうした全ての資料が、今は検索機能を用いることで直ちに入手できるようになったことです。
私は、1961年、イエール大学の大学院生だった時、最初の学術論文を以前のマイクロフィッシュ版エヴァンズを用いて書きました(その時は、牧師叙任式説教を研究していました)。
それ以来、今日に至るまで執筆した研究書や論文でずっとエヴァンズを用い続けてきました。
日本の研究者の皆様が、各地の大学で、最も新しい検索システムを搭載したエヴァンズを用いることができるのは大変喜ばしいことです。(翻訳:増井志津代)


ハーヴァード大学メモリアル・チャーチ


対談 大西先生 × 増井先生 全文はこちらよりご覧ください。
https://www.bunsei.co.jp/evans-interview/
増井 「Evans」でのリサーチを、宿題として課していらっしゃるんですよね。
大西 リベラル・アーツとして、一次資料を使う興奮とか醍醐味、古いものに対する感覚の養成といった経験を得ることは、きっとその後の人生を味のあるものに変えてくれますよ。

増井 そもそも、現代英語の主流がアメリカ英語になっていることを考えれば、初期アメリカを理解せずしては何もわからないわけですよね。本質的なところ、最初の部分を無視してしまうと、目の前にある現象しか見えなくなってしまう。
大西 初期アメリカの宗教性が理解できないと、トランプが、福音派の人たちの熱狂的支持を得ているかもわからないわけですね。
増井 大西洋ということでいえば、もうとつが奴隷貿易。そこもイギリス人があまり見たがらないところですけど、わたしたち日本人は一度リタッチしたところから進めていけますので。
大西 増井先生もよくおっしゃるけれども、そういうイギリス帝国の植民地に発生している事象には、環大西洋の帝国史という視座が必要です。
増井 「Evans」によって、日本から新しい学問の方向性が打ち出せれば面白いですね。わたしたちもさまざまな機関に働きかけて、共同購入を考えているところです。
大西 共同購入したいと思っているところ、多いんじゃないですか。今後、日本の「Evans」は、ヨーロッパ関連のアーカイブスを含めた横断検索を目論んでいるそうですから期待しましょう。

大西 直樹(おおにし・なおき)国際基督教大学特任教授 アメリカ文学・アメリカ学
増井 志津代(ますい・しつよ)上智大学 教授 初期アメリカ文学・思想・宗教史



Evans Digital Collection に寄せられた声

遠藤泰生(東京大学)
① 英語以外の出版物も含まれること。もともとポリグロットな世界であった北米植民地初期の状況を誠実に反映する史料集になっている。その点、英国出版物集成とは必ずしも重ならない史料集と言える。
② Evansには含まれない新聞電子データ(Early American Newspapersなど)とあわせれば、ほぼ北米植民地の全出版物をカヴァーできることになる。
③ 電子データであるので、言葉単位の史料検索が可能となり、基礎研究の分野横断的な視点を醸成するのに不可欠な史料集である。例えば政治・経済・文学・宗教などを貫く思潮を以前より探りやすくなる。このことで、アメリカ研究とヨーロッパ研究の架橋を目指すような研究の芽をはぐくむことも可能となる。これは日本における社会科学・人文科学全体の底上げに繋がる。
④ 史料集を使うことが予想される学生、研究者には、狭義のアメリカ研究者に限らず、近世・近代イギリス史研究者、植民地で出版されたスペイン語、フランス語、ドイツ語などをリサーチ言語として使用する近世・近代ヨーロッパ研究者全般が含まれる。

大塚寿郎(上智大学)
米国の大学で調査を行うときに感じる、日本の大学との大きな差のひとつが、デジタル・アーカイブへのアクセスのよさである。この点は日本の大学の国際化にとって立ち後れている点と言わざるをえない。一大学で導入が難しいデータベースを、コンソーシアムの形で導入することによって多くの研究者が恩恵を被ることは言うまでもない。
領域的にも地理的にも横断や越境、あるいは研究の枠組みそのものの再考を前提とするグローバルな研究は、研究者が制約を受けない環境を整備することが必要となる。初期アメリカの研究の場合も、Evansのデータベースはこの意味で利用価値が高い。研究者が日本にいながらにして、米国の研究者と同様に地理的に離れた複数の物理的アーカイブに所蔵されている領域横断的な資料にアクセスできるメリットは計り知れない。また、網羅されている史料・資料のジャンルは、文学や歴史を超えた学問的領域の横断、テクスト資料と視覚資料という違った研究対象へのアプローチの横断、使用されている言語の横断を可能にしてくれる。たとえば、これまでであれば多くの時間と労力を費やしても不可能なことさえあった、広告、ブロードサイド、カタログ、地図などを複数一挙に比較分析することさえ可能である。それを充実した検索機能を通して行うことができる研究者にとってのメリットはもとより、将来日本の研究界を担う大学院生たち、また学部学生たちが優れたデジタル・アーカイブを利用した研究方法を学ぶことで、新しい研究の可能性を発掘する手段を手に入れることになるであろう。将来への学問的投資としても大きな意味をもつものである。

佐久間みかよ(学習院女子大学)
デジタル・アーカイブ資料の充実は日本の研究機関において急務であると考えます。出張調査などの時間的制約が増している昨今、同様の資料を常時図書館などで検索することが可能になることで研究の精度があがることは間違いありません。今回のEvans Collectionは、アメリカで出版された初期の書物だけでなく、一般に流通したパンフレットなど広範囲の資料を含んでおり、アメリカ研究に携わる者のみならず、歴史・文学など人文系の研究者がアメリカに関わる資料で一度は必要を感じる資料が収録されています。それらが充実した検索機能により、より速く、そして多様なものを入手できるようになっています。資料と検索機能は研究の両輪ともいえますが、信頼できる資料を充実した検索機能により入手できることも今回のEvans Collectionの特徴だと思います。研究者、院生のみならず、学部学生にも、Evansの検索によって出会った資料から、新たな歴史認識を得られる機会を与えることができると考えます。
またデジタル化された資料の活用により、ビジュアルに過去の歴史や文化と出会う機会を与えることも考えられ、これらの研究成果の公表を通じて、広く国民にアメリカそして歴史そのものへの興味をおこす契機をつくりだし、その研究の意義を訴える有効な活用へとつながると考えます。