【近現代におけるインテリジェンス】 印刷

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【近現代におけるインテリジェンス】

A Collection of the Books on Intelligence
in Modern and Contemporary Times

441タイトル

¥4,000,000【税別】

 


 
コレクション解説
Prof. Christopher Andrew
ケンブリッジ大学教授(現代史)、著書に For the President's Eyes Only,The Mitrokhin Archive など。

このコレクションは英国外務省旧蔵のものなど、絶版本や稀覯本を数点含み、また現在進められている研究の主要な部分を押さえた非常に貴重なコレクションです。
優れた外交官として名高い Alexander Cadogan 卿は情報機関について、「外交史のなかの失われた次元」といったことがあります。卿のいう通り、20世紀の国際関係史のなかでもこれほど誤解されている事柄はないでしょう。長い間、アカデミックな研究者は情報機関の役割を無視するか、全く重要ではないものとして扱うことがほとんどでした。作家やジャーナリストは、その反対にしばしば情報機関をセンセーショナルに取り上げ、アカデミックな研究者はそのことにより、更に情報機関に真剣に扱うことをためらうようになっていたのです。
諜報の歴史研究よりもスパイ小説の方が読者への影響力は強く、世界の人口の約半分がジェームズ・ボンドを見ているような世界では、情報機関の本当の役割について知るものは、ほとんどいないのです。(注:実際に日本国内の大学図書館で、当コレクション内の研究書のほとんどが所蔵されておりません。)
20世紀最後の四半世紀になって、情報戦のなかで幅広く活動していた3つの大国から、信頼に足る研究書が出てくるようになりました。その大国とは英米、旧ソ連邦です。このコレクションの主要な部分を占める当時の研究書により、政治史や国際関係史における情報機関の役割について、私たちは理解を改めることになりました。特に刺激を与えてくれたのは1970年代半ばに発表された、大戦時に英国により行われたナチの暗号解読、Ultra Secret でした。この戦時中に行われた英米連携の暗号解読活動は、最近のアフガニスタンやイラクで行われていることからも明らかな通り、英米情報機関の連携の基礎となっているのです。
Ultra Secret が発表されるのと同じころ、CIAに対する議会調査や元KGBの亡命者の出現などにより、米ソ情報機関の歴史に新しい発見が生まれました。情報機関の資料は、未だに大部分が非公開のままですが、このコレクションの中には、米英で非公開が解除された資料を対象としているものもあります。他にも秘密裏に持ち出されたKGBのファイルや Oleg Gordievsky や Vasili Mitrokhin といった亡命者から提出された資料、現在公開されている旧ソ連側の機密資料といったものを対象にしているものもあります。
初期の研究は主に情報機関の歴史とその活動を対象にしていました。このコレクションに収めされていますが、最近の研究では国家や政治家による情報の活用あるいは悪用といったものに焦点を当てています。英米そしてロシアの研究では、20世紀それらの国々が、折角入手した情報をいかに有効に扱うことができなかったかということを明らかにしています。ウィンストン・チャーチル以前の政治家は、政治の舞台においても戦況の最中にあっても、情報機関の役割というものを適切には理解していなかったのです。チャーチル以後も、ほとんどの政治家が理解をしているようには見えません。
また、KGBが旧ソ連邦の政府組織の中心として機能していた時代、西側諸国では全くそういった現象が見られなかったことなどから、独裁政権と民主政権における、情報機関の役割の根本的な違いといったものも明らかになっています。独裁国家においては、国に反対するものをさまざまなかたちで監視し抑圧する情報機関は、国家運営の中心に置かれるものでした。サダム・フセインや金正日にとって、情報機関はなくてはならないものなのです。
情報が不正確な陰謀理論により誤って理解されることもあります。    戦後の英米に旧ソビエトの情報機関がどれだけ深く入り込んでいたか、そのことを知ったCIA幹部の James Angleton と英米情報機関内の一部が、組織内の二重スパイを探し始めます。MI5幹部の Peter Wright は、先の長官である Roger Hollis 卿がまさにそれだと誤解しました。1987年に発行された Peter Wright の自叙伝は、まさに大衆受けする情報機関での陰謀理論といったものを思い起こします。これはベストセラーにもなりました。
旧ソ連邦でも、ケンブリッジ大学出身の有能なスパイのグループ、Magnificent Five が大戦中には、実は英国情報機関に操られていると誤解されていたことが、コレクションの中にもある研究書により明らかになっています。
また情報は政治的にゆがめられることもありました。旧ソ連邦の情報分析官は、全てをアメリカの所為にすれば、事はうまくいくという原則に従い、上の者に都合よく情報を脚色していたといいます。独裁政権下でも情報をうまく収集できても、それを有効に役立てるということはなかなかできなかったようです。
このように政治史や国際関係史を理解する上では、情報機関の歴史はとても有意義であるといえます。

 
 

詳細リストは こちら (PDF 40p. 346kb) から。
【関連資料】
20世紀メディア研究所編
(責任編集者:山本武利 早稲田大学教授)

ISSN 1347-2275

Intelligence (インテリジェンス)
Nos. 1 - 10, 2002-2008 (all published)



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